競技前のマインドを整える――ナイキ初のマインドサイエンス・フットウェアを体験してみた

競技の直前、身体はそこにあるのに、心だけが置いてきぼりになる瞬間があります。集中しようとするほど、雑念が増えていく。そんなアスリートなら誰もが経験したことのある感覚に、ナイキがまったく新しいアプローチで挑もうとしています。その答えが、ブランドとして初めて神経科学に基づいて開発されたフットウェア「ナイキ マインド」です。
メディア関係者向けに行われたセッションで、その全貌に触れてきました。プロダクトプレゼンテーションとトライアルセッションを通じて感じたのは、これは“履き心地の良いシューズ”という言葉では収まらない存在だということ。「ナイキ マインド 001 ミュール」、そして「ナイキ マインド 002 スニーカー」は、足から脳へ、そして意識へと静かに働きかけてきます。
会場でまず語られたのは、「マインド」という言葉の意味でした。ナイキがこれまで45年以上にわたり研究してきたのは、筋肉や関節、酸素摂取量といった、いわば“目に見えるパフォーマンス”。しかし今回のマインドシリーズは、その先にある「意識」「知覚」「感覚フィードバック」に焦点を当てています。開発を担ったのは、ナイキスポーツ研究所(NSRL)に所属するマインドサイエンス部門。世界でも数少ない移動式の脳・身体撮像機器を用い、運動中の脳活動や神経系を研究してきたチームです。
プロダクトの最大の特徴は、片足に22個配置された独立したフォームノード。柔軟で防水性のある素材に接着され、足の動きに合わせてピストンやジンバルのように細かく動きます。これにより、地面の感触や質感がダイレクトに足裏へ伝わり、脳の重要な感覚領域が活性化する可能性が示唆されています。

実際にマインド 001 ミュールを履いた瞬間、まず感じたのは「プチプチ」とした独特の刺激でした。足裏全体に均等に広がる感覚は、これまでのリカバリーサンダルとも、トレーニングシューズとも違います。担当者の方からは「最低でも15分は履いて、何も考えず感覚に集中してみてください」とアドバイスを受けました。
しばらく立ったり、歩いたりするうちに、不思議と呼吸が深くなっていくのを感じます。足裏に意識を向けるだけで、頭の中にあった細かなノイズが少しずつ遠のいていくような感覚。集中しようと“頑張る”のではなく、自然と「今ここ」に戻される感覚です。
その後、自分のランニングシューズに履き替えても、足裏の感覚はしっかり残っていました。地面を踏む感触がいつもよりクリアで、身体の軸がわずかに整っているようにも感じます。実際のパフォーマンスにどう影響するのかはこれからですが、少なくとも「走る前の準備」に、新しい選択肢が加わったことは間違いありません。
一方、マインド 002 スニーカーは、よりしっかりと足を固定する構造が特徴です。ミュールの気軽さに対し、こちらは包み込まれるような安心感があります。サポート力が高い分、感覚の伝達もより安定しており、競技前のルーティンに取り入れるイメージが自然と浮かびました。
ナイキ イノベーション担当VP兼クリエイティブ ディレクターのエリック・エイヴァー氏は、「足・身体・心を再び目覚めさせる新しい感覚的フットウェア」と表現しています。そして、これは単なる一足のシューズではなく、将来的なアスリートの能力改善を示唆する“新たなパラダイム”だとも。
ナイキ マインドは、速く走るためのプロダクトではありません。集中すること、回復すること、自分の身体に意識を向けること。そのすべてを、足裏という最も原始的な感覚から呼び覚ましてくれます。履くたびに、自分の内側と向き合う時間が生まれる。そんな「感じるシューズ」が、これからのアスリートの常識を静かに変えていくのかもしれません。
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